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第47回 2017年12月14日掲載
稽古始めと狸汁会 ―― 奈良発祥の宝蔵院流槍術


稽古始めの様子=いずれも奈良市で、一箭順三さん提供

 宝蔵院(ほうぞういん)は興福寺の子院(しいん)でしたが、明治の廃仏毀釈(きしゃく)で廃絶。場所は現在の奈良国立博物館なら仏像館(旧本館)のあたりでした。同院が伝えた宝蔵院流槍術(そうじゅつ)は、柳生新陰流剣術とともに奈良発祥、日本を代表する古武道です。
 約460年前、興福寺の僧・胤栄(いんえい)が猿沢池に浮かぶ三日月を突き、十文字鎌槍(かまやり)を創始したそうです。穂先に枝刃(えだは)の付く鎌槍を使った槍術は攻防にすぐれ、やがて全国を席巻。現在は同高田派(第21世宗家=一箭(いちや)順三さん)がこの流れを伝えています。
 かつて正月の稽古(けいこ)始めには、伝習者に「狸汁(たぬきじる)」が振る舞われていました。もとは狸の肉でしたが、やがて歯ごたえが似ているコンニャクを使用するようになりました。その後、途絶えていましたが、2003年の稽古始めで、直径1メートルの大鍋2基でこれを再開。伝習者と見学者に振る舞われ、現在まで続いています。


【奈良まほろばソムリエの会専務理事 鉄田憲男】



狸汁を振る舞う一箭さん(右)

■メモ■

来年1月6日午前10時から、ならでん第二武道場(奈良市法蓮佐保山4)で稽古始め、正午から武道場前で狸汁の振る舞い(先着200名)がある。近鉄・JR奈良駅から、加茂駅行・高の原駅行バス「鴻ノ池」下車。
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