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第60回 2018年04月05日掲載
写し霊場の集落 ―― 大和郡山市番条町のお大師さん


門の外でご開帳されたお大師さま=いずれも大和郡山市で

 弘法大師のご縁日の4月21日、大和郡山市の番条町では、ちょうど88軒の家があった江戸時代の終わりごろに始まったと伝わる「88カ所霊場巡り」の風習が今も続いています。
 この日は民家が札所となり、朝から各家庭にまつられている弘法大師のお像を家の外に移し、壇を造り厨子(ずし)を置き、ご開帳します。お像の前にはお膳が据えられ、皮つきのタケノコやシイタケ、フキなどの煮物やご飯、お吸物などが供えられます。「お接待」に欠かせない白餅やよもぎ餅も積まれ、参拝者は自由にお参りし、お餅をいただくことができます。
 転居する場合は、近くの家や寺に預けることになっており、集落の中の阿弥陀院(高野山真言宗)には6体の大師さまがまつられ、江戸時代から絶えることなく守り継がれています。弘法大師の写し霊場は全国各地にありますが、集落全体が霊場になっているのは珍しいそうです。

【奈良まほろばソムリエの会 柏尾信尚】



阿弥陀院

■メモ■

大和郡山市番条町へは近鉄筒井駅から北東へ徒歩約20分。
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