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第93回 2018年11月29日掲載
愛され続ける古都の鹿 ―― 奈良市の南都八景


昔も今も親しまれる奈良の鹿=いずれも奈良市で

 南都八景とは「猿沢池月」(読みは「猿沢池の月」のように「の」を入れます)「東大寺鐘」「春日野鹿」など奈良市の奈良公園周辺の昔の名所を八つ集めたものです。室町中期、将軍・足利義政が南都を訪ねたころ選定されたようで、絵画の題材や和歌などに使われてきました。後の五つは「南円堂藤」「佐保川蛍」「三笠山雪」「雲居坂雨」「轟(とどろき)橋旅人」です。
 聞き慣れない雲居坂と轟橋ですが、ともに県庁東交差点から国道369号(かつての京街道)を北へ約200メートル行った東側に石碑が並んでおり、その辺りにあったようです。
 京などからの旅人が京街道の雲居坂を上ってきて、かつての吉城川の分水にかかる轟橋の近くまで来ると、西側に眺望が広がったそうです。雲居坂が雨との組み合わせになっているのは、雲と雨の関係からといいます。
 八景の元祖は11世紀、北宋時代の瀟湘(しょうしょう)八景で、江戸初期に近江八景が誕生しました。これらと南都八景は「月」「鐘」「雪」「雨」が共通します。南都八景には「鹿」が入っており、昔からアイドルだったのでしょうね。
 

【奈良まほろばソムリエの会理事 久門たつお】



轟橋の石碑(右)と雲居坂の石碑(左上)

■メモ■

三笠山は春日山西峰の御蓋(みかさ)山説が有力ですが、若草山説もあります。佐保川は正倉院の北を南西方向に流れています。
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