やまとの神さま
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第58回 2023年09月21日掲載
野球上達祈る「グラブ神社」  郡山八幡神社(大和郡山市)


郡山八幡神社の拝殿=大和郡山市で

 郡山八幡神社は、市内の静かな住宅地の中に厳かな雰囲気で鎮座しています。鳥居をくぐると、明るい境内が開け、本殿と境内社の後方から郡山城の外堀土塁阯(し)まで鎮守の森が繁っています。
 神社の起源は、東大寺の守護神として勧請(かんじょう)された宇佐八幡神が、薬師寺門前の休ケ丘(やすみがおか)で1泊した際に、豪族・中尾氏が「柳八幡大菩薩(ぼさつ)」として、この地に分祀(ぶんし)し、地名を「柳」としたことに始まります。県内の宇佐八幡系の宮では古く、大和郡山の氏神様でもあります。
 1585(天正13)年、豊臣秀長の郡山城築城に伴い、現在の地に移り、武家の信仰を集め、郡山城の南方の守護神になりました。神社の前の通りは、当初鎮座した柳の地にちなんで柳町通りと呼ばれています。
 また、当神社は、奈良県が野球グラブの有数の生産地であることから、国内でも珍しい「グラブ神社」として、野球上達の祈願所になっています。「グラブ祭り」では、集められたグラブを洗浄して、野球の盛んなカリブ海沿岸の国々の子供たちに贈られています。
 元来、武家の信仰を集めていた郡山八幡神社ですが、現代では、子供から大人までの“野球のサムライたち”が技術の向上を願い、参拝する姿が多く見られます。

(奈良まほろばソムリエの会会員 島田宗人)


(住所)大和郡山市柳4の25
(祭神)品陀別命(ほんだわけのみこと)、比売命(ひめのみこと)、大帯日姫命(おおたらしひひめのみこと)
(交通)近鉄郡山駅から南東へ徒歩約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)5台分(無料)
(電話)0743・52・2746

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