やまと百寺めぐり
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第17回 2019年08月01日掲載
戦乱の歴史 城郭寺  本善寺(吉野町)


本善寺の大玄関=吉野町で

 国道169号を大淀町から吉野町に入ると、吉野川の南岸に立派な建物が見えてきます。背後は山なので奥行きは浅いですが、吉野川を堀に見立て、武者返しの石垣と高い塀を設けた城郭寺院の形をしています。それが飯貝御坊(いいがいごぼう)と呼ばれる本善寺です。
 文明8(1476)年に本願寺8世蓮如(れんにょ)が創建し、本願寺の一字をとって本善寺としました。金峯山(きんぷせん)の僧兵と衝突を繰り返し、織田信長の石山本願寺攻めには兵糧を調達しましたが、信長の命を受けた筒井順慶の攻撃にあって堂宇は全焼してしまいました。仮本堂として客殿が再建され、本堂、蓮如堂と寛政年間(1790年ごろ)には全伽藍が完成、吉野、宇陀地方の教化の拠点となりました。
 対岸の寺内町・上市は吉野材で栄える木材の町となりました。眼下の吉野川には上流からの筏がつながれていました。
 木にこだわる地元の吉野材をふんだんに使った立派な建物の一つ一つに、本善寺の歴史が伝わってきます。

【奈良まほろばソムリエの会 前田景子】



■宗派 浄土真宗本願寺派
■住所 吉野郡吉野町飯貝567
■電話 0746−32−2675
■交通 近鉄大和上市駅下車 徒歩約20分
■拝観 境内自由(無料)
■駐車場 有(無料)



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