やまと百寺めぐり
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第82回 2020年12月17日掲載
「謎の大寺の」歴史継ぐ  川原寺跡弘福寺(明日香村)


川原寺の中金堂跡には「瑪瑙石」の礎石が残る=明日香村川原の弘福寺で

 川原寺は、飛鳥寺、薬師寺、大官大寺(だいかんだいじ)とともに、飛鳥の四大寺に数えられる飛鳥時代を代表する大寺でした。しかし、創建の時期やいきさつが「日本書紀」などの古代の文献に記述されていません。さらに、他の大寺が平城遷都とともに平城京に移転していったのに対し、唯一、飛鳥にとどまり続けました。川原寺はその後、歴史の舞台から姿を消してしまい、「謎の大寺」と呼ばれています。
 川原寺には東塔と中金堂・西金堂の二つの金堂を持つ、一塔二金堂式で堂塔が配置されていました。それは川原寺式と呼ばれ、寺跡は国史跡に指定されています。
 その中金堂があった場所に建つのが、川原寺の法灯を引き継ぐ現在の弘福寺(ぐふくじ)です。境内に足を踏み入れると、点在する白色の石が目に入ります。この石こそが、1400年の時を超えた川原寺の中金堂の礎石です。「瑪瑙(めのう)石」と呼ばれる珍しい大理石で作られ、28個が現存しています。
 東西150㍍以上、南北330㍍という広大な遺構を散策すると、在りし日の川原寺の壮大さを肌で感じます。瑪瑙の礎石に手を触れて、飛鳥時代に思いをはせてみてはいかがでしょうか。
【奈良まほろばソムリエの会 会員 露木基勝】



■宗派 真言宗豊山派
■住所 明日香村川原1109
■電話 0744・54・2043
■交通 飛鳥駅より赤かめバス「川原」下車、徒歩2分 または、橿原神宮前駅より赤かめバス「岡橋本」下車、徒歩10分
■拝観 9~17時、300円
■駐車場 近くに有(有料)



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