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第80回 2018年08月30日掲載
一揆伝える傘型連判状 ―― 生駒市の生駒ふるさとミュージアム


生駒ふるさとミュージアム=いずれも生駒市で

 生駒ふるさとミュージアムは生駒の歴史や文化遺産が一目でわかる歴史民俗資料館です。建物は旧生駒町役場の庁舎を使って建てられ、昭和初期にタイムスリップしたようなレトロな外観が魅力的です。2014年2月に開館され、国の登録有形文化財に指定されています。
 資料館の設計と建築を行ったのは往馬大社拝殿や宝山寺などの建築修理を手掛けた中川吉治郎で、祖父は幕末の1868(慶応4)年に代官・矢野の圧政に農民が蜂起し、「矢野騒動」という生駒一揆を起こした中心人物である大工与兵衛です。
 与兵衛は首謀者を隠すため円環状に署名した「傘型連判状(かさがたれんぱんじょう)」をしたため、大阪の長州藩陣屋へ窮状を訴え、代官の交代を願い出ました。長州藩は代官の矢野ら陣屋役人の身柄を拘束し大阪へ連行しました。「世直し」の気運が高まるこの頃の訴状は珍しく、貴重な史料として、館内に展示されています。

【奈良まほろばソムリエの会 津山 進】



傘型連判状

■メモ■

近鉄生駒駅下車、南東へ徒歩約10分。休館日は毎週月曜日(祝祭日は開館)と年末年始。常設展は無料。
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