やまとの神さま
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第6回 2022年05月26日掲載
安産育児 市内最古の神社  率川神社(奈良市)


三枝祭神楽=奈良市本子守町で、大神神社提供

 率川(いさがわ)神社は593(推古天皇元)年、大三輪君白堤(おおみわのきみしらつつみ)が勅命により創祀(そうし)した奈良市内で最古の神社(大神神社摂社)で、正式名称は率川坐大神御子(いさがわにますおおみわのみこ)神社です。本殿正面に祭られる祭神の媛(ひめ)蹈?(たたら)五十鈴(いすず)姫命(ひめのみこと)は初代神武天皇の皇后です。本殿左側には父神の狭井大神(さいのおおかみ)、右側には母神の玉櫛姫命(たまくしひめのみこと)を祭り、御子神を両側から見守るように鎮座していることから「子守明神」と称えられ、安産、育児、息災延命の神さまとして信仰を集めています。
 皇后を主祭神とした神社は全国でも珍しく、周辺の町名やバス停名も「本子守(ほんこもり)町」で、その由来がうかがえます。
 毎年6月17日、前日の「ささゆり奉献奉告祭」「宵宮祭」に続き、例祭「三枝祭(さいくさのまつり)」が斎行されます。701年、大宝令に国家の祭祀(さいし)として定められた神事で「ゆりまつり」の名で知られており、ササユリの花で黒酒(くろき)・白酒(しろき)の酒樽(さかだる)を飾って神前にお供えしたあと、4人の巫女(みこ)がヒカゲノカズラを頭につけ、ササユリを手に「うま酒みわの舞」を舞います。本殿の祭りのあと7人の七媛女(ななおとめ)、ゆり姫、ゆり車を引く稚児らの行列が市内を巡ります。
 本殿は一間社春日造檜皮葺(ひわだぶき)の建物が3棟並び、創建は江戸時代前期と考えられ、県指定有形文化財となっています。

(奈良まほろばソムリエの会会員 松田雅善)


(住所)奈良市本子守町18
(祭神)媛蹈?五十鈴姫命、狭井大神、玉櫛姫命
(交通)近鉄奈良駅から徒歩約5分
(拝観)境内自由。6月17日の祭典中は境内立ち入り不可。今年の行列はコロナ対策のため中止
(駐車場)無

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