やまとの神さま
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第129回 2025年07月24日掲載
全国の安倍氏先祖祭る   若櫻神社・高屋安倍神社(桜井市)


若櫻神社・高屋安倍神社拝殿=桜井市で


 若櫻神社と高屋安倍神社は、桜井駅から南へ約550メートルの小高い丘の上にあります。玉垣内に社殿が並び、拝殿から向かって右が若櫻神社、左が高屋安倍神社です。いずれも平安時代の神社一覧である「延喜式神名帳」に記載されています。
 高屋安倍神社は、少し南の松本山にありましたが、江戸時代の中ごろに長雨で流され、今の場所にうつされたようです。
 若櫻神社の祭神・伊波俄加利命(いわがかりのみこと)は、古文書に名が見えませんので、恐らく磐鹿六鴈命(いわかむつかりのみこと)のことで、イワカムツカリの「ムツ」が脱字して伝えられたのだと思われます。孝元天皇のひ孫に当たり、その子孫が安倍氏です。
 「日本書紀」によりますと、景行天皇の東国遠征に同行し、ハマグリ料理でもてなしたと記されている「天皇の料理番」のような神さまです。
 また、履中天皇が磐余(いわれ)の池で妃と舟遊びしていたときに、杯の酒に季節外れの桜の花びらが落ち、臣下に調べさせたところ、桜の木が見つかりました。
 これは吉兆だとして天皇は宮の名前を「磐余稚櫻宮(わかざくらのみや)」と名づけました。それが、若櫻神社の名前の由来と言われています。
 高屋安倍神社の祭神は大彦命(安倍氏の祖神)ですので、両神社ともに、全国の安倍氏の先祖を祭る神社だと言えます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 P川泰紀)


(住所)桜井市谷344番地
(祭神)〈若櫻神社〉伊波俄加利命 〈高屋安倍神社〉大彦命、屋主彦太思心命(やぬしひこふとしたまのみこと)、産屋主思命(うぶやぬしおもいのみこと)
(交通)JR・近鉄桜井駅から徒歩約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)なし
(電話)なし


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