やまと百寺めぐり
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第23回 2019年09月19日掲載
温存奇跡 最古の楼門  般若寺(奈良市)


京街道側からみる般若寺の楼門=奈良市般若寺町で

 般若寺の西側を通るのが京街道で、この道はかっての境内の中を通っています。境内の南西で街道に面しているのが、国宝の楼門(ろうもん)です。
 楼門とは、二階造りで下層に屋根のない門をいい、下層に屋根があれば二重門といいます。この門は、平安時代末の平重衡による焼き討ちの後、鎌倉時代に叡尊上人により伽藍の復興が図られた時、金堂や十三重石塔を囲む廻廊の門として建立されました。その後の災害、戦乱時に他のお堂が被害にあった際にも、奇跡的に残った大変貴重なもので、日本最古の楼門となっています。
 全体としては日本古来の様式のようですが、蟇股(かえるまた)や屋根を支える木組(きぐみ)の肘木(ひじき)の部分では、いわゆる大仏様の様式も織り交ぜたものとなっています。特に屋根が伸びやかな美しい曲線を描いています。
 秋のコスモスシーズン(9月下旬から11月上旬)には、境内の中からコスモスの花越しにその美しい姿が見られます。できれば境内外の京街道側からの姿もあわせてご覧ください。

【奈良まほろばソムリエの会理事 石田一雄】



■宗派 真言律宗
■住所 奈良市般若寺町221
■電話 0742-22-6287
■交通 JR・近鉄奈良駅からバス「般若寺」下車すぐ
■拝観 9:00〜17:00 500円
■駐車場 有(無料)



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