やまと百寺めぐり
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第26回 2019年10月10日掲載
厚い信仰 胎内に証し  観音寺(桜井市)


眼病に霊験あらたかとされる観音寺の本尊「千手千眼十一面観音菩薩」=桜井市南音羽で

 音羽山(おとわやま)の山懐に抱かれてひっそりたたずむ観音寺は、十七の丁石(ちょういし)に導かれた険しい参道の終点に建つ尼寺です。
 寺伝によれば、藤原鎌足(かまたり)公を現在の談山神社に祀った際、鬼門除(きもんよ)けとして鎌足公自作の梅の木の観音像を祀ったのが始めと伝えられています。現在のご本尊・千手千眼十一面観音菩薩は、眼病に霊験あらたかとされる眼の大きな観音様です。
 平成の本尊大修復で解体修理をした際、台座から鎮壇具(ちんだんぐ)として埋納された796(延暦15)年ごろ鋳造の銅銭「隆平永寶(りゅうへいえいほう)」の発見により、本尊の建立年代が明らかになりました。また本尊が再三修復された形跡も確認されました。最初に聖観音として建立された後、十一面観音、千手観音とお姿を変えたようです。より強い霊力で救済を求め願う人々に支えられて来た証しとして、約千年の歴史が観音様の胎内に刻まれていました。
 毎年十一月の最終日曜日は、秋の収穫に感謝して「お葉つき銀杏(いちょう)まつり」が開かれます。黄金色に染まった樹齢六百年の大きな銀杏が参詣者を迎えてくれます。

【奈良まほろばソムリエの会理事 道ア美幸】



■宗派 融通念仏宗
■住所 奈良県桜井市南音羽832
■電話 0744-46-0944
■交通 JR・近鉄桜井駅からバス「下居」下車徒歩45分
■拝観 9:00〜16:30 境内自由
■駐車場 有(無料)駐車場から徒歩30分



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