やまとの神さま
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第133回 2025年09月11日掲載
守護神迎え「オハキツキ」   生駒山口神社(平群町)


生駒山口神社の本殿と割拝殿


 竜田川の支流、檪原川(いちはらがわ)のすぐ横にある神社で、丘陵中段に立地しています。平群谷の各所より遠望でき、生駒山系の守護神とみられ、谷奥の水源と山の入り口を守る神と考えられます。滝の宮とも呼ばれ、元は南西の滝の付近に所在しました。
 貞観元(859)年正月に正五位下に昇叙、正暦5(994)年には疫病退散などの祈願のため宣命使が派遣されました。
 平安時代の神社一覧の「延喜式神名帳」には伊古麻山口神社(大・月次・新嘗)とあり、官幣に預かっていました。
 奈良県内に山口神社は14社あり一般に大山祗命(おおやまつみのみこと)を祭りますが、この社の祭神は素戔嗚尊(すさのおのみこと)・櫛稲田姫命(くしなだひめのみこと)です。石鳥居をくぐり、70余りの急な石段を登ると境内が広がります。本殿は一間社春日造り朱塗り、割拝殿には「祇園社(ぎおんしゃ)」の扁額(へんがく)が掛かり、境内には高さ121センチの砲弾や旧檪原橋の擬宝珠(ぎぼし)付欄干も。
 10月の第2日曜日に行われる秋の大祭の宵宮までの1週間、「オハキツキ」と呼ばれる神事が催されます。この神事は本当屋の家に神様を迎える御旅所(オハキ)を築き、本当屋と敬与人の2人が檪原川で禊(みそ)ぎを行って神様を送迎しおもてなしをするお祭りで、平成21年に奈良県無形民俗文化財に指定されています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 喜多村英夫)


(住所)平群町檪原字滝ノ宮5‐1
(祭神)素戔嗚尊・櫛稲田姫命
(交通)近鉄元山上口駅から徒歩約15分
(拝観)境内自由
(駐車場)有(無料)
(電話)0745‐45‐1775


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