金龍(きんりゅう)神社は春日大社の末社の一つです。境内の若宮の南方に、寄進された多くの赤い幟旗(のぼりばた)に囲まれて鎮座しています。
鎌倉時代末期の1331(元弘元)年、後醍醐天皇が笠置潜幸(かさぎせんこう)の途中この場所にあった「櫟屋(いちいのや)」で一夜を過ごし、御神鏡を奉納したのが起こり。御神鏡は唐伝来の禽獣葡萄鏡(きんじゅうぶどうきょう)で、国重文に指定され、春日大社国宝殿に収蔵されています。
神社名には、宮中と龍(りゅう)が関わっています。宮中を表す禁裏(きんり)から禁裏殿(でん)と呼ばれたこと、かつて天皇のしるしは龍で、即位の際の御衣(ぎょい)に龍が刺しゅうされていたこと、そして春日龍神信仰の龍と重なって、金龍殿と称されたといわれます。
春日龍神信仰とは、奈良時代に平城京の水源地である春日の山の神々と、中国に起源をもつ龍神信仰が結びついた信仰です。水をつかさどる龍神は強く信仰され、世阿弥は能楽の「春日龍神」を創作しました。
金龍神社は「春日五大龍神めぐり」の第1番参拝所で、運気や金運を押し上げ発展する力を授かるといわれます。人生の難所をお守りくださる「若宮十五社めぐり」の14番目の神社でもあります。昨年の辰年に合わせ御神前に金の狛龍(こまりゅう)の阿吽(あうん)像が奉納されました。
(奈良まほろばソムリエの会会員 大平芳枝)
(住所)奈良市春日野町160 春日大社内
(祭神)金龍大神
(交通)JR・近鉄奈良駅からバス「春日大社本殿」行きバス終点下車 徒歩約10分
(駐車場)春日大社駐車場(有料)
(電話)0742・22・7788
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