やまとの神さま
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第144回 2025年12月18日掲載
全国の御歳神の総本社   葛木御歳神社(御所市)


葛木御歳神社拝殿=御所市東持田で


 葛木御歳(かつらぎみとし)神社は葛城山・金剛山の東、御歳山の麓(ふもと)に鎮座します。ご祭神は五穀豊穣(ほうじょう)を授ける御歳神(みとしのかみ)・大年神(おおとしのかみ)・高照姫命(たかてるひめのみこと)で全国の御歳神、大年神の総本社です。御歳の「とし」は、稲などの穀物の実りを意味します。年に一度の収穫は命をつなぐサイクルで、新しい年に、新しい生命力を授ける存在が御歳神です。
 古来、朝廷で行われた豊作を祈る祈年祭では、御歳神の名が一番に「御歳皇神(みとしのすめがみ)」として読みあげられ、県内屈指の古社として尊ばれてきました。
 毎年正月になると、各家に降りてくるとされる歳神(年神)は御歳神を指します。依(よ)り代(しろ)である鏡餅には「御歳神の魂」が宿り、その餅を食べることでひとつ歳を取り、1年間無病息災でいられると考えられてきました。家族や親戚で鏡餅を分け合う行為は「御歳魂=お年玉」の起源です。お年玉とは本来、御歳神から分けてもらう「霊力」のことな のです。
 かつて神社の本殿には、「高照丸(たかてるまる)」という宝剣がお祭りされていましたが、大正時代に盗難に遭い、失われた宝剣を復活させるプロジェクトが現在進行中です。砂鉄集めから行い、たたら製鉄で玉鋼作り、刀鍛冶、研ぎ、鞘(さや)制作の工程を経て、2027(令和9)年の完成を目指しています。
(奈良まほろばソムリエの会会員 梅田加都)


(住所)御所市東持田269番地
(祭神)御歳神・大年神・高照姫命
(交通)JR・近鉄御所駅から奈良交通バスで 「小殿バス停」下車、徒歩約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)無料
(電話)0745-66-1708


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