杵築(きづき)神社は県内に多数ありますが当社は二名(にみょう)の春日氏(後の小野氏)ゆかりの神社です。富雄川沿いの長い参道、美しく整備された松並木の先に本殿があります。
当社は、古くより牛頭天王(ごずてんのう)と呼ばれてきました。敏達(びだつ)天皇の皇子・春日王は蘇我馬子と物部守屋が仏教導入を巡って戦った587(用明天皇2)年、河内国での「丁未(ていび)の乱」で聖徳太子に従い物部氏を破った功績に対し、富雄一円の地を与えられました。この地に母方の祖神、牛頭天王を祭ったとされています。
明治の神仏分離以降、牛頭天王と同じ神と考えられていた素戔嗚命(すさのおのみこと)に祭神を変え、さらに大国主命を加えました。近隣に祭られていた市杵島(いちきしま)神社が当社へ合祀されました。
杵築神社に改称したのは、出雲大社の古名、杵築大社の名を採用したとされます。
境内には多くの末社があり、春日神社、大山祇(おおやまつみ)神社、神明宮(しんめいぐう)などが鎮座しています。龍王社の龍神池からは水が枯れることなく、こんこんと湧き出ています。
明治に廃寺となった東福寺の痕跡が境内に残っています。堂は再建され不動明王像や阿弥陀如来像が安置されています。
10月第2土曜日の例祭には、にぎやかなはやしと共に重さ2トンのだんじりがえい行されます。
(奈良まほろばソムリエの会会員 徳南毅一)
(住所)奈良市二名平野2の2097
(祭神)素戔嗚命、大国主命、市杵島姫命
(交通)近鉄富雄駅からバス「杵築橋」下車すぐ
(拝観)境内自由
(駐車場)あり(数台、無料)
(電話)0742・43・8647
掲載記事(pdf)はこちら
|