やまと百寺めぐり
< 第9回へ 第11回へ >
第10回 2019年06月13日掲載
巨大石像や曼荼羅石  十輪院(奈良市)


石仏と共に四季折々の花が咲く庭園が楽しめる十輪院

 十輪院は、元正天皇の勅願寺とも、吉備真備の長男・朝野宿禰魚養(あさのすくねなかい)の開基とも伝えられます。  国宝の本堂(鎌倉時代前期)には、重文・石仏龕(せきぶつがん)(仏像を納める厨子)が組まれ、奥には本尊の石造地蔵菩薩立像が祀られています。左右には釈迦如来・弥勒菩薩など多数の仏像が彫られています。
 南門をくぐった右手には蓮池を中心とした庭園が広がっています。さまざまな花が咲き、これからの季節にはハスの花が見ごろを迎えます。池を囲むように踏み石が敷いてあり、石の下には四国八十八カ所の砂が埋められています。池を一周すれば、四国八十八ヵ所を回ったことになるのだそうです。
 庭の周辺には多数の石像が祀られています。特に不動明王立像と合掌観音立像(ともに鎌倉時代)は2メートルほどの巨大石像です。興福寺曼荼羅石(鎌倉時代・奈良市指定文化財)は表面に興福寺の建物と仏像が刻まれ、石造では唯一の貴重なものです。十三重石塔・愛染曼荼羅なども祀られています。
 庭園散策のあとは茶室・頻婆果亭(びんばかてい)で、お抹茶を楽しまれてはいかがでしょう。

【奈良まほろばソムリエの会 理事 稲田英二】



■宗派 真言宗
■住所 奈良市十輪院町 27
■電話 0742-26-6635
■交通 JR・近鉄奈良駅からバス「福智院」下車 徒歩約5分
■拝観 9:00〜16:30 ただし12/28〜1/5、1/27〜1/28 8/16〜8/31および月曜日(祝日の場合は翌火曜日)は閉門 500円



トップページへ
COPYRIGHT (C) 奈良まほろばソムリエの会 ALL RIGHTS RESERVED.