やまと百寺めぐり
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第11回 2019年06月20日掲載
眺望開ける癒しの山道  岡寺(明日香村)


高台に続く山道=明日香村の岡寺で

 岡寺は明日香村の東、岡山の中腹に建つ閑静な山寺です。開祖・義淵(ぎえん)僧正が当地を荒らす悪龍を法力で池の中に封じ込め、大きな石で蓋(ふた)をしたことから龍蓋寺(りゅうがいじ)とも。見事な獅子や龍、虎が彫られた仁王門をくぐり、石段を上がれば本堂。ご本尊の如意輪観音坐像は、塑像(そぞう)(土でできた仏像)としては日本最大の仏像です。本堂前には龍を封じ込めた龍蓋池があり、傍らの白い浮彫りの石板が龍と僧正の戦いを語ります。
 池を過ぎ小道を行けば、草木の間に石塔や石仏がたたずんでいます。しずくのしたたる奥之院石窟の中には弥勒菩薩坐像。奥之院から三重宝塔に至る本堂向かいの山道は、春にはピンクに染まるシャクナゲの群生、秋には紅葉のトンネルと、四季折々に彩り豊です。ゆるやかな山道を行き、義淵僧正の廟所からは境内諸堂を一望できます。三重宝塔の高台まで来れば、明日香村ののどかな風景と、その先には金剛・葛城の山並みが広がります。石段を下り、戦時の難を逃れた鐘のある鐘楼堂でひと打ちし、厄を払って山を後にしましょう。

【奈良まほろばソムリエの会 大江弘幸】



■宗派 真言宗豊山派
■住所 高市郡明日香村岡806
■電話 0744-54-2007
■交通 近鉄橿原神宮前駅東口からバス「岡寺前」下車、徒歩約10分
■拝観 8時〜17時(3〜11月)、8時〜16時30分(12〜2月) 400円
■駐車場 有(民営駐車場)



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