波多甕井(はたみかい)神社は、高取町で唯一、平安時代の法令集「延喜式」に記載された式内大社です。
祭神は甕速日命(みかはやひのみこと)ですが、近世の地誌「大和志」には天照大神を祭ると書かれていました。
鎮座する地は、古代豪族の波多氏が住む波多郷でした。近くには清水が湧き出る「太師井戸」があり、貴重な水源である「水甕(みずがめ)」として使われてきました。こうしたことが、神社の名につながったと考えられます。
「日本書紀」には、推古天皇の時代、毎年5月5日、この地で「薬猟(くすりがり)」が行われていたと記載されています。薬猟とは、冠位に応じた衣服を着た諸臣や女官が鹿の若角や薬草を採取する宮廷行事のことです。
高取町では江戸時代末期より売薬業が発展しました。今も製薬業が行われ、薬草の大和当帰(とうき)も栽培されていますが、その源流とも言えそうです。
このように、推古天皇ゆかりの地であることから、当社は日本遺産「日本国創成のとき〜飛鳥を翔(かけ)た女性たち〜」の構成文化財となっています。
この地域は古くから開けており、当社の東方2キロには古墳時代の清水谷遺跡があります。ここからは、オンドル(床暖房)を備えた渡来人の住居跡が出土しました。
(奈良まほろばソムリエの会会員 福原康之)
(住所)高取町羽内235
(祭神)甕速日命
(交通)近鉄市尾駅から徒歩約20分
(拝観)境内自由
(駐車場)なし
(電話)なし
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