やまとの神さま
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第161回 2026年06月04日掲載
元伊勢に織田氏の能舞台   阿紀神社(宇陀市)


阿紀神社の本殿と能舞台(手前)=宇陀市で


 古文書によると、垂仁(すいにん)天皇の皇女・倭姫命(やまとひめのみこと)が天照大神の鎮座地を求めて各地を巡幸した際、祭られた場所の一つが「宇多の吾城(あきの)(阿騎)宮」です。こちらで4年間大切にお祭りされた後、さらに各地を巡幸して、ついに五十鈴川の川上に鎮座したと伝えられています。これが伊勢神宮の起源とされ、阿紀神社は「元伊勢(もといせ)」の一つと呼ばれています。
 杉木立に覆われた境内には、本殿とともに、現在では非常に珍しい屋外の能舞台があります。この能舞台は、江戸時代に宇陀松山藩を治めていた三代藩主・織田長頼が寄進したものです。長頼自身も能を舞うことをこよなく愛し、当時は武士だけでなく農民も集まって共に能を楽しんだと言い伝えられています。
 70年ほど中断されていた能楽は、1992(平成4)年に再開されました。「あきの螢能」として上演され、2026(令和8)年で第32回を迎えます。  この能の最大の見どころは、終盤の幻想的な演出です。舞台の明かりがすべて消されると、宇陀高校生による「螢姫」の手によって、数百匹の螢が放たれます。漆黒の闇の中に光の放物線が描かれ、鎮守の森へと吸い込まれていく光景は、見る者を幽玄の世界へと誘います。 (奈良まほろばソムリエの会副理事長 松浦文子)


(住所)宇陀市大宇陀迫間252
(祭神)主に天照大神
(交通)近鉄榛原駅から奈良交通バス「大宇陀迫間」下車徒歩約10分
(拝観)境内自由
(駐車場)あり
(電話)なし


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